四角い青空上巻

四角い青空上巻

鉄格子のはまった空を眺めることが唯一の安息であるアウトサイダーたち……。
その名も高きF県特別少年院。
この息の詰まりそうな出口のない世界で生きる若者たちがいた。
償うのは確かに自らが犯した罪ではあるが、あまりにも大きな不安や恐ろしいもの、絶望感と彼らは闘っていたのだ。
ギリギリの『生』を生きる彼らは時に、死の影すらさす厳しい孤独とも対峙しなければならなかった――!真実の叫びも、自由な世界を求める血みどろの戦いも、ここでは悲鳴にすぎなかった――。
ネズミこと赤木忠は特別少年院の中にあっても、仲間思いの心優しい男だった。
四角い小さな青空しか与えられていない彼ら……これは出口なき極限状態におかれた若者たちの、もっとも無頼で、優しく、かつ哀しい魂の告白の物語である!!的場塁。
学校では柔道部の巨漢連中を投げ飛ばし、家では酒飲みの親父と盃を交わすアウトロー高校生。
無敵のケンカ番長として大暴れする塁の前に、六大学一の投手沢村球治が現れる。
塁をまだ見ぬ野球ダイヤモンドと見込んだ沢村は、それを光り輝かせるべく執拗に野球部入りを勧める。
しかし、塁の左腕には誰にもいえない悲しい秘密が隠されていた…!この左腕から放たれたボールが母を殺した!? 罪の意識にもがき苦しみ、野球の道を捨てた塁。
ある日、相生高の竜と一対一の野球勝負をすることに。
己の左腕にはいまだ自信を持っていた塁だったが、自慢のスクリューボールも竜には通用せず!! 力の衰えを見せ付けられ愕然とする。
はたして一度は眠った天才球児が再び目覚めるときは来るのだろうか――!?かつての情熱を再び取り戻した塁は野球部に入部した。
相生高との試合でリリーフとして登板し、竜鉄平にリベンジを挑む。
切り札のスクリューボールも見事復活を遂げ、試合に勝利した塁だったが、沢村は塁が竜との対決を優先し、チームの輪を乱したとして根性を叩きなおすべく浜辺の決闘を申し込んだ! せっかくマウンドに戻ってきた塁のなかで再びケンカの虫が騒ぎ始める!? そして夢の甲子園への道は――!?続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60010567